外壁は、ガラフ産の石灰岩などの大きなブロックを、曲線に沿って切り出して組んだものです。壁そのものは建物を支えておらず、6,000個を超える石が金属の部材で骨組みに固定されています。そのため、窓を大きく取れ、各階に光が届きます。
32か所のバルコニーの手すりは、鉄くずや鉄の棒、鎖で作られた錬鉄で、海藻が波に漂うような形です。公式の解説では、1階の鉄格子は4点しか現存せず、1点はニューヨーク近代美術館(MoMA)に、3点はグエル公園内のガウディの家博物館にあります。
入口の鉄とガラスの扉は、中央が車、両側が住人用の通路として作られました。大きな板ガラスが手に入りにくかった当時、不規則な形のガラスを組み合わせて、下は小さく丈夫に、上は大きく明るくしています。
建物の中心には2つの中庭があり、グラシア通り側が円形の「花の中庭」、プロベンサ通り側が楕円形の「蝶の中庭」です。壁と天井には、象徴主義の画家アレイス・クラペスが指揮した壁画があります。玄関ホールでは、神話を題材にしたタペストリーの図柄が描かれ、階段のだまし絵は、柱や庭のある浮遊した階段を歩いているような錯覚を生みます。
住居階は、1911年ごろのブルジョワ(裕福な市民)の暮らしを再現した展示です。公式の説明では、当時の家具のほか、ガウディが設計した細部、たとえば石膏の枠、ドアノブ、床なども見どころです。各階の玄関扉は、鉄の帯で作られた覗き窓付きで、扉を開けずに室内外でやり取りでき、側面の開口部から郵便物を渡せる工夫があります。
天井は水平ではなく、円や楕円、渦巻きを描いた浮き彫りの面です。葦を編んだ下地に漆喰を塗る方法で作られ、「葦の平天井」と呼ばれる技法の名前の由来になっています。ガウディが主階に設計した装飾の一部は、のちの改装で失われています。
屋根裏は、270本の煉瓦造のアーチが連なる空間で、動物の肋骨のようにも見えます。もともとは洗濯場や物干し場、倉庫、エレベーターの機械室でしたが、現在はガウディの生涯と作品を紹介する展示の空間です。公式は、模型、設計図、デザイン、映像を通して、ガウディの建築を知るための見学コースと説明しています。
屋根裏には、建物の外周に沿って曲がりくねる通路もあり、中世の城の歩哨用の通路を思わせます。この空間は、夏は窓を開けて風を通し、冬は閉めて熱を逃がさない、建物全体の断熱層の役割も果たしていました。
屋上は、カサ・ミラのいちばんの見せ場です。6つの階段室の出口(バダロット)、29本の煙突、2つの換気塔が、波打つ屋上の床に沿って並びます。詩人のペレ・ヒンフェレールは「戦士の庭」と呼んだと、英語版Wikipediaにあります。公式の見学ガイドでは、「戦士の屋上」とも呼ばれています。
階段室の出口の4つは、陶器、大理石、ガラスの破片を貼ったトレンカディスで覆われ、防水の役目も果たします。煙突のひとつの群れは、深い緑のシャンパンの瓶の破片で覆われています。英語版Wikipediaには、パーティの空き瓶を使ったという逸話が紹介されていますが、これは伝承の域を出ません。
屋上のアーチのひとつからは、サグラダ・ファミリアがちょうど枠に収まって見えます。公式サイトは、ガウディが完成後にその景色が収まるよう、建物の高さを計算したと説明しています。
夜のナイト・エクスペリエンスは、ガイドと建物を巡り、屋上で映像と光と音のショーを見る企画です。公式は、天窓や建物の形に映像が映し出されると説明しています。早朝のサンライズは、開館前の8時から9時に、一般の来館者がいない時間に見学できます。ガイドの言語は、公式の券ページではナイトが4言語(日本語なし)、サンライズが英語と中国語と表記されています。最新の言語は購入ページで確認してください。
同じグラシア通り沿いにあるガウディの建物ですが、成り立ちも見どころも違います。
| カサ・ミラ | カサ・バトリョ | |
|---|---|---|
| 成り立ち | 古い家を壊して新築 | 既存の建物を大改築 |
| 外観 | 波打つ石の壁 | 色とりどりのタイル |
| 見どころ | 屋上、屋根裏、住居階 | 光の中庭、竜の背の屋上 |
どちらかひとつなら、構造や建築の工夫をじっくり知りたい方にはカサ・ミラ、色彩や内装の華やかさを楽しみたい方にはカサ・バトリョという選び方が一般的です。両方を見る場合は、時間指定の入場の間に、移動の時間を含めて余裕を持たせてください。カサ・バトリョの詳細は、姉妹サイトのカサ・バトリョにまとめています。
屋上は、煙突と階段室の出口、その先に見えるサグラダ・ファミリアを一枚に収められる人気の撮影場所です。屋根裏のアーチは、並びが続く奥行きが印象的です。中庭では、壁画の色と大階段を入れて撮れます。外観は、通りの向かいの歩道に立つと、波打つ壁面全体が収まります。
個人用の写真は撮影できますが、フラッシュは禁止で、三脚などは特別な許可が必要です。人が多い場所では、後ろの人の動線をふさがないようにしてください。
ラ・ペドレラは石切り場の意味です。完成当時、前例のない外観を見た市民が付けたあだ名で、いまは愛称として定着しています。
エッセンシャルなどの一般の見学で上がれます。雨の日は安全のため閉鎖されます。車いすやベビーカーでは通行できません。
構造や屋上、ガウディ展を重視するならカサ・ミラ、色彩や内装を楽しむならカサ・バトリョが選ばれます。同じ通り沿いにあり、両方を見る人もいます。
個人用の写真は撮れますが、フラッシュは禁止です。三脚やプロ用機材には特別な許可が必要です。